腎臓内科

腎臓内科

腎臓内科とは、腎臓に関わる病気を診断/治療する診療科です。
腎臓内科ではおもに慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎不全などが中心です。
腎臓疾患では糖尿病、膠原病といった全身疾患に伴う腎疾患患者の増加がみられ、慢性腎不全患者の診療総数は10年前と比べ60%の増となっています。

また腎臓内科は緊急を要する疾患も多く、特に急速進行性腎炎は地域中から集まってくるといわれています。
腎不全、糖尿病性腎症からの腎不全という例は、感染症を起こすケースが多く、感染症のコントロールや血糖管理、全身管理が必要となる症例も多いです。

他臓器疾患の悪化に伴い腎不全が進行する症例も多く、糖尿病、膠原病、心疾患など、常に幅広い知識や判断が求められ、腎臓内科は全身を診る内科らしい内科と言えます。

主な対象疾患

  • 急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)
  • 慢性糸球体腎炎 (まんせいしきゅうたいじんえん)
  • ネフローゼ症候群(ネフローゼしょうこうぐん)
  • 急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)
  • 慢性腎不全(まんせいじんふぜん)
  • 糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)
  • 膠原病(こうげんびょう)
  • 急速進行性糸球体腎炎 (きゅうそくしんこうせいしきゅうたいじんえん)
  • 腎硬化症(じんこうかしょう)
  • 急性間質性腎炎(きゅうせいかんしつせいじんえん)

当院の腎臓内科医

腎臓は全身のホメオスターシスを維持する上で、欠くことのできない重要臓器であり、全身諸臓器の疾患、病態形成に深く関与しています。
各種の薬物治療・外科治療を行う上でも腎機能を正確に評価し、腎臓への影響を十分に考慮する必要があります。

当院の医師はじっくりと考えて、患者さんの半日後の状態を想定して対応していきます。
腎疾患は二次性のものを合わせると疾患が多岐にわたるため、全身を診る能力と多くの知識をようしているのでご安心いただけます。

   

腎臓内科のよくあるお問い合わせ

腎臓はどのような働きをしているのでしょうか?
腎臓は小豆のような形をした臓器で、大人では手拳大(約10cm)で左右一つずつあります。
背中に近い位置にあり、腎臓に炎症(腎盂腎炎)を起こすと背部に痛みを感じます。

腎臓の働きはいくつもありますが、最も重要な働きは「血液の浄化作用(血液をきれいにすること)」です。人が食べた食物の中で体に必要なものは栄養素として大切な働きをしますが、不要な代謝物や、環境物質、あるいは、薬物は腎臓から尿中へ排泄されます。腎臓はこのように体にとって有害な物資を尿中に排泄し、血液を常にきれいな状態に保っていくのになくてはならない臓器です。
腎臓が悪くなる(機能が低下する)とどのようなことがおきますか?
上記でご説明したように、腎臓は血液浄化に中心的な働きをしています。
河川には浄化場がありますが、浄化場では家庭や工場から出された廃液をきれいにして河川に戻しています。浄化場がなくなったら、河川は汚れてしまいますね。
背中に近い位置にあり、腎臓に炎症(腎盂腎炎)を起こすと背部に痛みを感じます。

腎臓の機能が低下すると、血液が浄化できなくなり、生体にとって有害な物質が蓄積してしまいます。こうした状態を尿毒症と呼びます。
腎臓は、血液を浄化するだけでなく過剰な水分やミネラル(ナトリウムやカリウムなど)も排出しています。腎臓の機能が低下すると水やNaなどのミネラルの排泄も悪くなり、「むくみ(浮腫)」が出てきます。
学校検尿や幼稚園の尿検査(検尿)で異常があるといわれましたがどのようなことなのでしょうか?
現在日本では、3歳半と、学童期(小学校~中学校)に毎年、尿検査(検尿)が行われています。検尿に調べている項目は、血尿(尿に血が混じる)、蛋白尿(尿に蛋白が混じる)、糖尿(尿に糖が出る)の3項目です。
腎臓は「血液をきれいにする臓器」でした。それでは腎臓ではどのようにして血液をきれいにしているのでしょうか?
腎臓には心臓から出た血液のおよそ20%が流れ込みます(大変に多い量です)。腎臓に流れ込んだ血液は、しだいに枝分かれし、最後にはとても細い血管の塊(糸玉のような形をしているので、糸球体と呼ばれています)に到達し、その場所で「濾過」されます。
コーヒーをろ紙で濾過するのと同じです。糸球体では血液が濾過されますが、血液の赤い成分である「赤血球」は濾過されません。コーヒーのろ紙が、挽いたコーヒー豆を濾過しないのと同じです。また体に必要な「蛋白」も濾過されません。このように、糸球体では血液の液体成分とミネラル分が濾過されるだけで、血液や蛋白は濾過されません。

背中に近い位置にあり、腎臓に炎症(腎盂腎炎)を起こすと背部に痛みを感じます。
腎臓に炎症や異常が生じると、本来濾過されない、「赤血球」や「蛋白」が濾過されてしまい、尿に出てきます。この状態を血尿、あるいは、蛋白尿と呼んでいます。血尿や蛋白尿は、「腎臓で何か異常がおきている」ことを私たちに教えてくれます。
血尿や蛋白尿がでた場合、どのような病気を考えたらよいのでしょうか?
ただ、正常な人では血尿や蛋白尿は出ませんので、これらの異常があれば必ず、専門医(小児腎臓専門医)を受診してください。血尿や蛋白尿が認められた場合に考えられる疾患として次にご説明する、腎炎、ネフローゼ症候群があります。
6ヶ月のこどもが尿路感染症(腎盂腎炎)と診断され入院しました。 医師からは「乳幼児の尿路感染は大人と違って注意が必要」と言われましたが、どのようなことが問題となるのでしょうか?
膀胱や腎臓に細菌が入り、頻尿、排尿痛、残尿感、発熱などをともなう疾患が尿路感染症です。
尿路感染症は珍しい疾患ではなく、大人(特に成人女性)では、膀胱炎や腎盂腎炎をおこした経験のある方も珍しくないと思います。
一方、小児(特に2才頃までの乳幼児期)の尿路感染症は注意が必要です。この時期に発見される尿路感染症の多くは「腎盂腎炎」で、「腎臓に細菌が侵入し炎症をおこしている状態」です。乳幼児の腎盂腎炎は、「原因不明(発熱以外の症状がない)の高熱」として発症することが大半です。乳幼児の原因不明の発熱をみたら、「腎盂腎炎では?」と考え、検尿することが必要です。
腎臓は血液がとても多い臓器であり、腎臓に細菌が侵入すると、血液にまで細菌が進出していく(敗血症)こともあります。ひどい場合には脳にまで細菌が侵入します(髄膜炎)。乳幼児は免疫力が弱いので、敗血症や髄膜炎に至ることもまれではありません。

乳幼児の尿路感染症でもう一つ注意が必要なのは、「乳幼児の尿路感染症の30~50%に尿路の先天的な異常が隠れている」ことです。乳幼児が尿路感染症をおこした時は、尿路感染症の治療のみならず、その基礎疾患(隠れている尿路異常)について調べることも重要です。
こどもが小学校3年生になってもまだ毎晩おねしょが続いています。 こどももそろそろ気になるようです。どのように対応したら良いでしょう?
夜尿は、決して少ないものではなく小学校中学年以上まで持続するお子さんも多数おります。
夜尿は成人するまでにほとんど全てが消失しますので、怖れるような病気ではありません。
ただ、夜尿の頻度が多かったり、修学旅行や林間・臨海学校などの宿泊行事がある時期まで夜尿が続く場合にはご本人、また、親御さんが心理的な重圧を強く感じることがあります。
夜尿のパターンはいくつかありますが、そのパターンを見分け、生活指導をすることで軽度なものはかなりの改善が見られます。また夜尿アラームや、薬物療法も有効です。

夜尿に悩んでいらっしゃる方も是非、腎臓専門医の意見をお聞きになることをおすすめします。
血尿や蛋白尿はいろいろな原因で生じます。ですから、学校や幼稚園の検尿で「異常がある:血尿、あるいは、蛋白尿がある」といわれてもすぐに腎臓の病気というわけではありません。